京の桜を撮り続けて40年以上のキャリアを誇る水野克比古

全部で118ページ、
1ページに一つの桜の名所が写し込まれてあり、
説明と住所、
電話、
拝観時間、
休み、
交通アクセスなどが記されていました。
冒頭の地図には掲載ページが記してありますので、
本書を片手に春爛漫の京都を散策してください。
桜ガイドとしても撮影アングルの指南書として有用です。


特に印象に残った作品を列挙します。
街中にある佛光寺の素晴らしい本堂横の枝垂れ桜、
高瀬川の川面と夜桜のツーショットは、
京都の春の素晴らしさが伝わってくるでしょう。
出町柳近くの本満寺の可憐な枝垂れ桜は少し高いアングルから写し込まれています。

本法寺の多宝塔をバックにした染井吉野、
雨宝院の里桜などは写真を撮る時のアングルの参考になるものでした。

街中の寺院の立本寺の境内一面を彩る染井吉野と紅枝垂れ桜の饗宴、
上品蓮台寺の八重紅枝垂桜、
千本釈迦堂のおかめ桜なども街中の寺院の魅力を感じさせるものでしょう。


桜守の佐野藤右衛門が開放されている佐野桜畑、
通称「花の寺」で親しまれている勝持寺、
京都随一とも言える紅枝垂桜に圧倒される原谷苑(61ページ)、
上賀茂神社の見事な御所桜など、
雰囲気も景観も違う写真がこれでもかというほど勢揃いしていました。

74〜75ページの見開きには「さくらの種類」の説明があり、
桜の種類の特徴がよく分かります。


平安神宮の八重紅枝垂れ桜は定番ですし、
両側から覆いかぶさる様な染井吉野並木が美しい蹴上インクラインは散策にはもってこいの場所でしょう。

円山公園の妖艶な枝垂れ桜が池に写っている夜桜風景は見飽きません。
養源院の八重紅枝垂桜をベストの状態で撮られており本書の中でも一際華やかさが伝わってきます。

山科疏水の染井吉野と菜の花のコラボや近くの毘沙門堂、
八幡の背割桜(116ページ)の夜桜風景など、
洛中を外れても桜の見どころは尽きません。


定番ですが、
竜安寺の色のない石庭と鮮やかな枝垂れ桜の対比は眼をひきます。
また仁和寺の遅咲きの御室桜の満開の風情とバックの五重塔は絵になりました。
南山城の綴喜郡井手町の地蔵院の早咲きの枝垂れ桜は名桜ですね。
円山の枝垂れ桜の親戚とのこと。