読んでおいて損がないか、というには疑問である

まず、
本書冒頭には、

「このような技を用いるには卑怯だと言う人がいる」
「そういう人から迫害を受け、
実力を評価されていない部分がある」
と述べられている。


前者の言い分について、
裏技を用いるのは卑怯ではない、
という考え方については、
私は著者に同意である。

むしろ、
特に公務員試験のようなあまりにも形式的であり、
これを解けた所で本当に実益となるのか？と言わんばかりの試験を突破するのに、
無用な時間をかけるほど愚かな事は無いと思っている。


その上で後者の、
この本には実力があるが評価されない、
という考え方にはいささか疑問である。

というのも私としては、
本書がそれほど効果的なものとは思えなかったのだ

理由としては、
文章理解（現代文）における裏技が無駄に多く、
望んでいたような情報が少なかった。

文章理解（現代文）というのは、
一般的な受験生にとって得点源分野であり、
わざわざ裏技を使う必要性があるとは思えない。

本書の半ページ程は文章理解についての解法であり、
もう少しバランス良く、
科目ごとに有力な解法があると思っていたし、

なにより本書の裏技を使用するには、
結局論理的思考能力が必要となってくるので、
本書を読破した上でこの裏技を理解し、
実用出来るのであれば恐らく本問自体を解けてしまうだろう。

さながら「裏技」には判断推理のようなちょっとした面倒な作業が必要なのである。


また、
それは当然といったような裏技も多い。

選択肢の消し方についてなどは、
勉強をした事のある者であればまあ一度は思い付くような考え方である。

私としては、
データに基づいた選択肢の分析や、
もっと「裏」的な黒い解法を期待していのだが、
まあ当たり前のような事しか情報としては得られなかった。


結局、
本書の裏技で解ける問題が実際に増えるかと言えば、
増える「かも」しれないとしか言いようがない。

体感にして言えば、
一問か二問ほど稼げる可能性がある、
程度だろうか。
これだけで公務員試験が突破出来る等とは夢にも思わない方が良い。