苦労した人なら共感できる

　書いてあることは至極まともで、
どれも基本である。
基礎の基礎であるがゆえに、
「内容が薄い」という印象を受けるかもしれないが、
試行錯誤して「シンプルが一番」という境地にたどり着いた自分からすれば、
共感できるところが多い。
決して内容が薄いわけではない。
内容が内容だけに、
コンパクトにまとまっているという印象のほうが強い。
例えば、
５分足でトレードしようと思うならば、
このくらいシンプルでないと瞬時に動きにくいのではなかろうか。


　本書の趣旨は「世界中の人が見ているものを見て、
それについていこう」というものである。
世界中の人が見ているものを見ようというわけだから、
必然的に、
内容自体もどこかで見たことがあるものだろうとは、
読む前から想像していた。

　では、
なぜ、
この本を買ったのかというと、
「世界の人が本当に見ているものは何か」について知りたかったからである。
私自身、
一目均衡表は重視していなかったので、
その意味では、
役には立った。
また、
移動平均線のパラメータも参考になった。


　エントリーパターンも、
見たことがあるものばかりだが、
実践することを考えるのであれば、
本書で紹介しているもので過不足はないと思った。
もちろん、
ほかのやり方を批判するわけではない。
でも、
手法は簡単なほうがいいと思う。

　５分足と１時間足の組み合わせだけでなく、
３０分足と４時間足との組み合わせや、
１時間足と日足との組み合わせを試してみても面白いかもしれない。
時間軸が長くなるほど、
変なダマシも減るのでやりやすくなるかも。


　この本の良さに気づける人は、
ここに来るまでに相当の苦労をした人だと思う。
逆に言うと、
苦労をしてこないと、
この本の良さは分からないかもしれない。
「値動き」に翻弄されてきた人が読むと「あ~っ」というのはけっこうある。

　初心者の人にとっては知識としての勉強にはなるが、
本書で語っていることの本質は、
経験を積まないと分からないのではないかと思う。
ベテランさんにとっては、
ほとんどのことが知っている内容だと思われる。
ゆえに、
悪く言えば、
学ぶところが見つからないという評価になっても、
それは仕方がない気もする。
評価がしにくいというか、
読む人によって、
評価が真っ二つに分かれると思う。