各分野のデザイン・イノベーションを網羅的に把握できる一冊

本書は2010年にニューヨークで開催された「なぜ今デザインなのか？（Why Design Now?）」展をまとめ収録したものである。
エネルギー、
移動性、
コミュニティなど、
各分野の社会問題に対し、
デザインというアプローチによって解決を試みる数々の実例を見ることができる。

『世界を変えるデザイン――ものづくりには夢がある』の編者が関わっているため、
同じ事例が多くあるのではと思っていたが、
ワン・ラップトップ・パー・チャイルドの事例くらいしか同じものは見当たらない。
さらに、
『世界を―』は貧困層(BOP)の生活におけるニーズを満たすデザインの事例が多かったが、
本書は先進国に住むわれわれにとっても喫緊の課題である環境・エネルギー問題、
リサイクル問題、
地域社会やコミュニケーションの問題などをデザイン思考によって解決しようとする例が多く、
普段自分が送っている生活についても再考させられた。
（日本で最も社会的責任デザイン思考を持っていると個人的に思っている、
無印良品のプロダクトが紹介されていたのは嬉しかった。
）
ふんだんに使われている写真のおかげでぱらぱらとめくるだけでも好奇心が刺激される。
そのぶん各プロダクト／プロジェクトについての説明は少し物足りないものがあり☆４とさせて頂いた。