英語読めません！　でも、すこぶる役立つ一冊

　トゥキュディデスの『歴史』（『戦史』）の英訳版です。

　戦争史を読む際、
その関連地図の有無で理解の仕方がかなり違います。
トゥキュディデスの邦訳版（京都大学学術出版会、
岩波文庫）には、
関連する地図がついており大変便利。

　が、
しかし、
ギリシアの、
しかも古代の地名なもんで、
土地勘のない私は該当地を探すのに手間取ったりして、
テンポよく読み進むことができないこともありました。

　そこで本書。
『歴史』本文（英訳）と様々な縮尺の地図などで構成されており、
本文に沿って出てくる地名全ての位置を、
どこそこの地図のどこそこに記載、
と脚注で表記してあります。

　英文ですが、
巻・章・節が記してあるため、
邦訳版との対照が容易で、
英語が読めない私でも地名程度なら苦にならずに特定できました。
大きめの本ですが、
読書中、
傍らに置いてすこぶる役に立ちました。

　他にも、
本文の余白にあるその章の概要（西暦・開戦後経過年と季節付）、
この時代の政治制度や戦争の仕方などの解題、
用語集、
索引等があり、
英語が読める方でしたら更に『歴史』を理解するのに役立つことでしょう。

　ちなみに、
ウイリアムソン・マーレー他編『歴史と戦略の本質』上、
今村伸哉監訳、
原書房、
2011年の「教育者トゥキディデス」で絶賛されているロバート・ストラッスラー編集の英訳版とは、
本書のことです。