恰好のデリダ入門書

一時あれ程もてはやされ、
また批判されもしたポスト・モダンや脱構築について、
最近やや耳にする機会が少なくなったような気がする。
しかしその思想は消耗したのではなく、
政治学など社会科学の分野にまで浸透したが故に却って目立たなくなったのである。
すなわち今や人文、
社会科学のあらゆる分野において少しでも理論的考察を行わんとするならば、
それら現代思想を視野に入れざるを得ないのである。
なかでもデリダとフーコーはその代表例である。
本書は前者の思想の要点を的確にまとめた恰好の入門書である。
講談社の『現代思想の冒険者』シリーズは概ね啓蒙書として優れた作品が揃っているが、
本書もその例外ではない。