今度はどこにも逃げないよ。僕は君を連れて帰る。
 第三部,ついにあの男が登場します。

 背広を着た背の低い男。
年齢は40代半ばから50代近く,むっちりと蛙のように肥って禿げている。
話すときに言葉によっては上唇がくるっとめくれて,煙草の色に染まった乱杭歯が見える。
これまで出会った中で間違いなく一番醜い何人かの一人といえる。
ただ容貌が醜いというだけでなく,そこには何かねっとりとした言葉では形容できない不気味さがある。
勝手に僕の家に上がり込んで自己紹介をする。

 「牛河っていいます。
まわりの人はみんな,ウシ,て呼ぶんです。
おい,ウシってね」

 「1Q84」を読んだ時,この牛河が再登場してビックリしました。

 本書ねじまき鳥クロニクルの舞台は1984年。

 つまり,「1Q84」の世界とリンクしているのです。

 もちろん「1Q84」の世界の牛河は,月が二つある世界の1984年ですので,まったく同じ牛河ではないかもしれませんが,描写を見る限りほぼ同じ牛河ではないでしょうか。

 作者も本書で登場させた牛河がよっぽど気に入ったのでしょう。

 それだけの存在感があります。

 
 第三部では,これまでの直線的な展開から雰囲気がかわり,途中に新聞記事が入ったり,時系列を入れ替えたり,過去の短編小説を組み込んだりと,文学的に趣向が凝らされているように思います。

 また,牛河以外にも,ナツメグとシナモンという,これまた存在感ある人物が登場します。

 「波の具合によって隠れたり現れたりする海辺の洞窟みたいに,ごく自然に現れたり引っ込んだりする口元の笑み」が特徴的なシナモン。

 彼は少年時代のある出来事から一言も言葉を話さないが,とても感じが良く意思疎通に困らない。

 
 三度目の再読ですが,それでもやはりまだまだ謎が残り,きっと数年後にまた再読することでしょう。

 ただ,この第三部で作者の作家としての覚悟を強く感じました。

 この作品の後,村上春樹の作品は更に進化していくことになるのです。

 
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

その他の感想

keep it gay!
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サイズが小さく、履くことができない。
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森次晃嗣さんの元気なお姿に勇気とパワーをもらえます!
「HGBD ガンダムAGEⅡマグナム」を最終回仕様にするためには、「組み立て前」のAGEⅡマグナムが必要。
待望の一冊
パリ特集テッパン!!!
STANLEY(スタンレー) というブランド。
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