A Reckless Encounter （2001）

使用人を殺害し母を凌辱して死に至らしめたノージントン子爵への復讐を誓い10年間…英国に渡ったヒロイン。

名付け親を頼りに社交界デビューし子爵と対面したものの、
既に息子に代替わり。

子爵を通じて伯爵へ接触を図ろうとするも、
ヒロインが諜報対象者と関わりがあると勘違いした子爵の思惑により思わぬ方向に…。

募る焦りと絶望感とは裏腹に、
事件に巻き込まれてしまいます。


元士官・諜報員・船会社経営・子爵と様々な顔を持ち謎めいたヒーローと、
気丈に振舞う影に孤独感漂うヒロイン。

マグノリア既刊のロジャーズ3作品は、
クールで切れ者のオレ様ヒーロー＆控え目ながらしっかり者ヒロインによるドラマティックな展開が特徴でしたが、

今作は一転、
心の闇・秘密を抱えたヒーロー・ヒロインの心理戦、
２人に迫る裏切り・陰謀とダークな雰囲気。

宿敵の息子を愛してしまったヒロインの復讐との葛藤、
裏切りに遭ったヒーローの虚無感、
この作品は”赦し”がテーマなのかもしれません。


デビュー時は正統派作品→キャリアを積んで個性を出す作家が多い中、
ロジャーズは逆。

衝撃的デビュー作『甘く野性的な恋』（1974）→最新作『秘密の花嫁』（2011）に至る間、
どこで作風が変化したのか興味深々でしたが、

今作は過激さは無いものの初期作品の面影があるようにも感じました。


ヒストリカル・ロマンスの大御所も今や82歳。

年齢的に新作は厳しいかもしれませんが、
ぜひともロシアシリーズ3作目と共に未訳本を出して頂きたいです。