力作だけれど焦点が曖昧

丹下健三生誕100周年で各方面で記念事業や出版がなされている。
その中では890ページと、
異様にぶ厚い本として書店でも目立った存在だ。
著者は若いし、
2006年からのインタビューは相当に辛抱強くないと出来ないので、
そのことは大いに讃えたいし、
それに見合った知識も持ち合わせている。
しかし、
１万４千円の本をどのような視点で読者に読んでほしいと思っているのか、
最後まで分からなかった。
多くのエピソードを積み重ねて仕立て一人の建築家像を浮き彫りにしようとするであれば浅田孝氏、
坪井善勝氏、
川添登氏が抜けているのがあまりにも寂しいし、
取材中はまだ存命にあった黒川紀章氏の「書簡だけ」の紹介は納得出来ない。
ここで終わっているということは、
身内の同窓会レポードに過ぎないと受け取られても致し方ないのでは、
、
、
。
本来であれば、
イサム・ノグチ氏、
岡本太郎氏、
剣持勇氏等も（故人ではあるが、
）必須の存在として掘り起こしたい。
また、
槇文彦氏の指摘の通り、
代表作は1970年までとして捉え、
もっと重点的に旧都庁舎、
香川県庁舎、
カテドラル、
代々木屋内競技場、
大阪万博の５つに絞って解析した方が「丹下健三とKenzo