厚さがちょうどよい受験的良書

（良い点）
「弁論主義」「処分権主義」「裁判上の自白」「補助参加」といった
民事訴訟法の用語の『定義』がしっかりと記載され、

弁論主義の第1から第3テーゼまで、
（職権証拠調べの禁止
といった用語ではなく）文章のかたちで載っていること

裁判上の自白の当事者拘束力の根拠について、

弁論主義の第2テーゼが前提となると、
しっかりと
根拠がかかれているところ
（欲を言えば、
別の学説にも言及してほしいところだけれども）

補助参加の要件のところで、
〈訴訟の結果〉〈法律上の利害関係〉
だけでなく、
『事実上の影響』にまで言及しているところ

分厚すぎない分量でまとまっているところ
学説の引用が載っているところ

（悪い点）
民事訴訟の本としては、
もう少し文章量を多くして、
他学説への
言及をしてくれた方が、
学生にとっては有難いかもしれない

裁判上の自白の証明不要効は、
実務上間接事実にも及ぶ、

という他の基本書にはあまり書かれていないことについて、

本書でも言及がなかったのが残念。


（まとめ）
民事訴訟法が苦手な人、
のほとんどが民訴の本を通読できず、

全体の構造を理解しづらい、
という点にあるとすると、

本書は、
リーガルクエスト、
和田民訴という別の選択肢と比べて
一番分量が薄いという点に利点があると思われます。

フォントや文章構成も読みやすいですし、
ところどころ発展的
記載もあるので、
内容が薄いということはないと思います。


本書は、
これからの民訴学習において、

・和田　
・リーガルクエスト　
・重点講義
という選択肢に新たな1冊を提示してくれるものだと思います。