人類史の新しい視点

わたしはマッサージを仕事にしているので、
瞑想のメカニズムをマッサージと重ねて読み進みました。
リラックス状態に入ると、
ひとの身体はただ触れられるだけでも、
自己治癒力を高めますが、
それは触れられる部分だけの小さな働きではなく、
脳を含めた全身のダイナミックな働きであることなど、
本書を読んであらためてマッサージによって身体や脳のなかで何が起こっているのか、
そしてなぜ人はマッサージやヨガを求めるのか考える大きなヒントになりました。

うつ病や脅迫性障害、
ストレス、
腰痛なども含む「気分障害」はアナログ障害によるものであるという話は、
これまでの精神医学の考え方からみると、
あまりにシンプルすぎて驚きました。
しかし、
デジアナ運動をキーワードにした心のからくりの解説はとてもわかりやすく、
全身で納得できるものでした。
このような解説はこれまでになかったのではないでしょうか。
このキーワードをもとに自分自身やまわりを見渡すと、
深い迷路に迷い込まずに済むのではないかと思います。
生きにくいといわれる社会をつくっているのは、
ほかならぬ私たち自身ですが、
ここに至るまでの長い歴史と人間の本質を知ることで、
その流れを変えることができる。
停滞感に陥るなか、
そんな希望の光をみせてくれます。
人間の歴史と本質について、
普遍的で大きな視点に立って書かれており、
今現在の私たちの立ち位置がわかることで安心感を得ました。

本書を読んで、
なぜ自分がこの仕事を選んだのか、
そしてこれから何を求めて続けていくのかということも明確になりすっきりした気分です。
これで良かったんだと背中を押され、
力を与えてくれる一冊でした。