本質的な言葉がていねいに綴られているため、ふとしたときに開くと、そのときに必要な言葉が響いてきて、迷いが晴れて、本質に戻れる、そんな本です。

佐藤初女先生の集大成ともいえる著書と感じました。


「何かになろうとしなくても、
それはすでに自分の中にあるものです。
透明になって真実に生きていれば、
それが必ず真実となってあらわれます。
だからわたしたちに今できることは、
ただ精一杯、
毎日を真面目にていねいに生きていく、
これだけだと思うのです。
」

これほど本質が詰まった文章に出会った経験は、
これまでなかったかもしれない。


奇策やノウハウなどいらないから、
本質に沿って丁寧に生きていけば、
それでいいんだと、
まさに「無限の安心感」に包まれる一冊です。


こんな世の中だからこそ、
「生きる指針」になる、
そんな本です。


「心が“透明”でないと生きにくい。
心が“透明”ならほんとうに生きやすい。
」

ほんとうにそういう世の中だよなあと思うとともに、


これは若い人のほうがすでに感じ取り、
実践していることかもしれないと思いました。


それは、
「ゆとり世代は」とかよく言われますが、
むしろ多くの大人達が「自分」が前に出すぎるために世間から叩かれたり、
欲深いゆえに失敗したりする姿をみているうちに、
若者達は「自分をあまり出す必要もなく、
日々ていねいに生きていったほうがよい」と悟った人達も多いからかもしれません。


若い世代は、
自分自分ではなく、
他人のためにボランティアをすることも当たり前になりつつあります。
自我に囚われているよりも、
他人のためにを大事にしたほうが生きやすいとわかっているのかもしれません。
著者は93歳のはずですが、
不思議とそういう若者の気持ちを言い当ててくれているようにも感じるので、
若い人にもかなり響くのではないかと思います。

　

一方で、
本書を通して伝わってくるのは、
「凛として生きる」ことの大切さです。


著者はいいます。
「１本芯があれば揺れてもいい」と。


題名の「限りなく透明に凛として生きる」というのは、
この本に通奏底音のように流れている「透明でありながら、
大切にしている芯を持つことで、
しなやかに生きる」というメッセージを見事に表しているようにも感じました。