今こそ響く一冊

「建築を語ること」「建築を記述すること」がもはや時代遅れになった感がある今に、
あえてひたすら
自分の言葉で建築を語り続けているところに、
著者の覚悟のようなものが伝わってきます。


ギリシャから現在まで、
古今東西のさまざまな街や建築や思想との出会いが語られていて、
この建築家が
歩んできた道程を一緒にたどっているような、
それが時間と場所をまたがって同時にいくつも存在しているような、

不思議なバーチャル体験をしている感覚になってきます。


見ること、
感動すること、
考えること、
つくること・・・・・・眼と脳と心と手が、
流れのなかでつながっている感覚。


今だからこそ、
一人のリアルな体験から出てきた言葉が説得力を持っている、
そう思える本。