「進化」ではなく「棲み分け」

　かつては、
環境に適した種だけが生き延び、
そうでないものは滅びるという適者生存、
弱肉強食の理論が信じられていた。
しかし研究が進むにつれ、
一見弱そうな生物にも戦略があり、
「生き延びた種は全て勝者である」ことがわかってきた。


　ナマケモノという侮蔑的な名前をつけられた生き物は、
他の生物が食べない植物を食べ、
スローな動き(天敵のジャガーに見つかりにくい)でエネルギーを使わないようにする事で生き延びた。

　サバンナの草食動物は根の近くを食べるガゼル、
草の先端を食べるシマウマで餌を分けあっている。
シロサイは地面に近い草、
クロサイは背の高い草を食べる。


　ポジションを分けること以外にも、
「群れる」「逃げる」「隠れる」「ずらす」などそれぞれの戦略が、
いろいろな動植物の事例として紹介されている。
ランチェスターの経営理論なども絡めて書かれているが、
純粋にポピュラーサイエンスとして楽しめる本。
それぞれ短い章なので、
通勤時も良い。