日本企業のDNAを呼び覚ます

現場の一人ひとりが経営者の目線で知恵を出し、
暗黙知を共有して、
イノベーションを起こす、
というのが元々日本の企業が持っていたDNAであったにも拘らず、
欧米流の株主資本主義の分析的な経営手法に過剰に適応するあまり、
日本企業の活力が奪われ、
弱体化して行ったのではないか、
というのが筆者の主張である。
本来であれば、
両社のバランスが取れることが望ましいとしつつも、
あまりにも日本企業の強みである機動力が失われている現状に鑑み、
「全員経営」「衆知経営」を取り戻すヒントを解説した一冊である。


これまで野中郁次郎氏が唱えて来た、
知識創造のSECIモデル、
フラクタル組織、
賢慮(フロネシス)のリーダシップ等を理論的な基調としつつ、
JAL、
ヤマト運輸、
セブン＆アイ、
良品計画等、
経営再建やイノベーションに見るべきものがある企業の具体的事例を紹介している。

また、
サブケースとして紹介されている小さいながらキラリと光る日本の小さな「良い会社」が、
日本企業的DNAを存分に発揮していることも興味深い。