現実世界でも頑張って欲しい

『合衆国崩壊』でようやく本シリーズの世界が頭の中に入りましたので、
再度原著に挑戦しました。


本作では、
正義の味方アメリカが、
いよいよ日本をやっつける番みたいです。
日本が米国に戦争を仕掛けるなど平和ボケした我々日本人にとってはあり得ないお話ですが、
国粋・軍事オタク（？）の作者にはどのように映るのだろうかという興味もあって手にしました。


経済大国日本が核武装し、
しかも黒幕は財閥となると「なんでやねん！？」という感じですが、
軍事のみならず経済面でも同時攻撃を仕掛けるという発想は面白く、
ある意味9/11がそうでした。
しかも極め付きは、
その9/11を予言した圧倒的なクライマックスでしょう。


正に劇的な展開なのですが、
残念ながら作者は肝心の経済がお得意でないようで、
ディテールは勿論、
特にその解決策を含めた顛末がいい加減で、
現実味が極端に薄れてしまいました。
勉強不足です。
尚、
日本の扱いが偏っているとの指摘がありますが、
国粋・軍事オタクにしては（冗談です）公平ですし、
米国のくだらなさにも相当触れています。
日本人らしからぬ名前と変な日本語が多いのには閉口しましたが。
こちらは検証不足です。


核武装した日本をこれほど見事にやっつけてくれるなら、
現実世界ですき放題やっている極東の某ならず者国家をもう少し何とかして貰いたいものですね。
990頁に及ぶ長編で、
日本の文庫と違って意味もなく複数冊に分けないマスマーケットのぶ厚さが手に快感です。