自分を大切にする第一歩

　中学・高校生の子どもたちにも読んでほしいという願いから、
理解しやすい組み立てになっています。
どの章にも、
これからのお話を簡単にまとめた要約文があり、
本文があり、
用語の解説を中心としたまとめがあります。
具体的な、
そして少々衝撃的なエピソードがたくさん出てきます。
でも、
どの話も大真面目にとりくまれています。
そして、
決して特別な事例ではないのだろうなと感じさせられます。

　人権（そんな難しい言葉は使っていないけれど）を守るということはどういうことかを深く考えさせる内容でした。

　この先生を好もしく感じるのは、
いつでも生徒の側に立って考えるという姿勢。
当たり前だと思われていることについても、
ちょっと待てよと疑ってみる柔軟さ。
そして自分の考えを他者に押し付けない自制心。

　『「セックス」とは、
人にとってそれほど大事件でありうるのだろうか。
』という言葉にはしびれました。
変にタブー視したり、
神聖視したり、
社会の人々は少しおおごとに考えすぎているのではないだろうか。
セックスも、
食事をしたり、
排泄したり、
夜眠ったりすることと同じような、
人間の営みのひとつでしかないのだから。
そんな風に感じられました。

　そしてもちろん、
性を大切にするということは、
その人自身を大切にすることに他ならないのだと思います。
自分の性も、
そしてパートナーの性も大切にできる人に育ってほしい、
弱い立場に苦しむ人を減らしたいという願いに満ちあふれているように思われました。