暮れゆく日産スタジアム（横浜）は、思い出の光景として、ファンの間で語り継がれるだろう

　2013年6月8日（土曜日）、
この季節としては蒸し暑い午後で、
幸いにも晴天に恵まれた。
昼頃にはすでに新横浜駅周辺から日産スタジアムへ続く一帯は、
多くのAKB48（グループ）ファンで埋め尽くされていた。
皆、
上着で〈推しメン〉を主張しながら彷徨っている。
テレビ局のクルーが、
「みいちゃん（峯岸みなみ）のファンの人いる！？」と声を張り上げている。
話題の人物を軸にニュースを制作するのに躍起になっている。
喧騒と熱気が独特の雰囲気を醸し出していた。

　午後1時の開場前にはすでに何列もの人の群れが出来上がっていた。
評者も並び、
早速に入場した。
２階スタンドの最上段に近い席だったため、
会場全体を俯瞰できる。
これだけ広いアリーナ席は初見であり、
アリーナ席の諸兄はどの程度見えるのだろうかと、
あらぬ心配をしてしまった。

　午後3時に開演。
耳に慣れた曲が次々と披露された。
なかでも、
スタンド最上段の特設ステージから歌い降ろす大島優子の「泣きながら微笑んで」は圧巻だった。
この一曲を聴けただけでも日産スタジアムに参戦したファンは満足だったであろう。
その直後に正反対の舞台で「ハステとワステ」が歌われたときには、
そのあまりのギャップに破顔一笑。

　好天に恵まれ、
音響は屋内に比べると劣るものの、
ピクニック気分で楽しめるコンサートだった。


　総選挙開票イベントも、
はじめのうちは日も明るく、
なにか和やかな雰囲気で進んだ。
日が暮れ始めたのは、
アンダーガールズの発表あたりだっただろうか。
17位に柴田阿弥が発表されたときは会場がどよめいた。
会場スクリーンに、
緊張と興奮の入り混じった、
少しこわばった笑顔が大写しになったことで、
スタジアム全員がこのシンデレラガールを目に焼き付けることになる。

　いよいよ選抜メンバーの発表。
16位は須田亜香里。
「今の世代が引っ張っていく」旨の名言を残した。

　13位は横山由依。
なぜこの人のスピーチはこんなにも面白いのだろう。
これも一つの天賦の才か。