日本語の奥深さを再認識させられた

ルビが振っていない旧版の「言霊精義」と違い、
全文にルビが振ってあるこの新装版の「言霊精義」は、
一読した瞬間、
旧版の「言霊精義」では十分に読み取ることができなかった「言霊」の世界観が、
大森荘蔵の言葉を借りるわけでは無いが、
立ち顕れてきた。
しかし、
日本語という言葉は不思議な言葉である。
どんな難解な漢字でも、
その漢字を眺め訓読みで読みこむと、
その漢字が意味することが立ち顕れてくる。
布斗麻邇とは、
私たちが日常無意識に利用している５０音図表のことだという。
考えてみれば、
私たちの日本語は、
この５０音図表の一文字一文字を組み合わせて文化・文明を構築し、
そしてあらゆるコミュニケーションを行っているのである。
私が子供の頃に、
国語の授業の始まりに決まって合唱させられていたアイウエオ・ワヰウエヲ、
そしてアカサタナハマヤラワの５０音図表が、
「生命の実在実存であると同時に意志と感情の一切を含む精神活動の典範であり原図である」と記述されている。
まさに「初めに言葉ありき」と聖書に書かれているとおりのことである。
それが古事記には、
さらに深く精緻に神妙に書かれているという。
読み終わったときに、
その通りだと納得した。
最後になるが、
この新装版の「言霊精義」には、
本文の７１頁の後段に、
「人間は中今の各瞬間毎に宇宙の創造を行っている造物主すなわち神である」と記述されている。
この１行の言葉を紐解くためにだけに、
この新装版の「言霊精義」を購入してみるだけの価値はあると、
私は声を大にしていいたい。
最後になるが、
この新装版の「言霊精義」を松岡正剛に手にとってもらい「千夜千冊」で評論してもらいたいものだ。