短時間で概要を知りたい向きにはお奨め

本書は米海軍のF6Fヘルキャットと日本海軍の零式艦上戦闘機(零戦)の対決を描いている。
本書はヘルキャットと零戦の開発、
機体の特徴を描いた後、
両者が対決に至る1943年までの太平洋戦線の状況、
1943~44年における両者の対決、
そしてその分析について記載している。
記述内容は概要的なレベルに留まっており、
詳細な内容を期待する向きにはあまりお奨めできない。
また戦闘状況についての記載が米軍側からの視点に留まっており、
日本側からみた記述に乏しいのがやや残念である。

ただヘルキャットと零戦の対決について概要を知るには好適な著作であり、
短時間で概要を知りたい向きにはお奨めしたい。
また本書はイラストが秀逸なので、
その点からもお奨めできる。
さらに洋書にしては読みやすいので、
その点からも我々日本人にとっては有難い。

個人的には"Gunairstructor"を使った射撃訓練に関する解説、
ブーゲンビル島攻防戦の際に地上基地に配備されたVF-33のヘルキャット隊に関する記述が興味深かった。