放射線計測の定番教科書

放射線や放射性同位体を使う実験をする人、
工学や農学、
医学などで放射線を利用する人でこの本を知らない人はいないと思います。
世界中で使われている定番の教科書です。
2010年の第4版は基本的に以前の第3版と大きく異なってはいません。
ただし、
著者は学生に印刷の間違いを見付けたら1ドルの報酬を出しているそうで、
第3版のミスは大幅に改められていると期待します。
もちろん、
新しく追加された事項もあります。
購入されるなら最新版をお勧めします。
今まで12年から15年で新しい版が出ているので、
10年は最新版のはずです。


普通は職場の研究室や図書室に常備されていると思います。
私は学生時代に原子炉や放射線を利用する実験をしていて、
その後はまったく無関係（と言っても計測で利用はしますが）の分野に進みました。
今回の発電所の事故で周りから質問されることも多く（雑談の延長ですが）、
いい加減な答えは出来ないので最新の計測技術を知るために購入しました。
学生時代学んだことをやり直そうというのもあります。


このような応用分野、
実験技術の教科書はありとあらゆることを一から詳しく厳密に説明していたら、
全何巻にもなる膨大な量になってしまいます。
基礎理論の教科書なら数式の羅列になりますが、
この本は結果の式のみを示して説明し応用を詳しく文章で説明してあります。
もちろん引用文献を示してありますから、
気になればそちらに当れます。


放射線計測の本はいろいろ出ていますが、
和書は医療分野の学生向きが多く、
どうしても物理の部分の説明が浅くなってしまい理工系の読者には物足りないと思います。
価格は高めですが、
あれこれ買い込むなら最初からこの本にしたほうが時間とお金を節約できます。