リアルから出発する説得力

とにかくわかりやすく、
説得力がある。

というと「表面的なわかりやすさを重視して中身が・・・」になりそうだが、
そんなことはない。

読めば読むほど、
専門家すら唸らせるような奥深い論立てがなされているのだ。


著者はいわゆる「学者」「研究者」あるいは「知識人」とはほど遠い。

失礼ながら、
そういう意味では「素人」だ。

ただし、
地を這うようなリアルな「体験」を持っている。

「元自衛官」というだけではない。
退任後の様々な職業体験が、
彼の天性の理論に磨きをかけた。


何より大事なことは「必ず一次資料にあたる」という姿勢だ。

それは、
ブログで、
メーリングリストで、
mixiで、
ツイッターで、
ずっと貫かれてきた姿勢だ。

そして、
コメントなどのやりとりでは、
嫌がらせのような質問にもきちんと答えてきた。

手元に資料がなければ、
どうにかして取り寄せた。

つまり、
誠実であり、
頭の下がる努力家であり、
愛情豊かな人物なのである。


その長年のオピニオンの結集が本作である。
ただ一度読んで終わりではない。

リファレンスするべき資料が詰め込まれているので、
常に手元に置いておきたいものだ。

保守・革新、
右翼・左翼を問わず、
日本の将来をよりよいものにしたい人ならば、
必携の書であろう。