ハツカネズミのように、柔道の達人のように

強いものではなく、
環境に適応したものが生き残る「適者生存」。
生存競争は命を懸けた適応競争だ。
ビジネスもまた然りだろう。


・・・などと書くとハツカネズミやゴキブリみたいな企業が生き残るのかという気持ちになってくるが、
本書は、
変化の早い昨今の異業種競争時代の競争戦略について、
「事業連鎖（ビジネスチェーン）」という考え方を通じ、
非常に多くの事例を用いて掘り下げた本だ。
自らが属する分野の大きなつながりを捉えることによって、
そこに発生する「異業種間競争」を考慮に入れることが可能になる。
セブン・イレブンが100円のコーヒーを売り、
カフェ事業に進出したのはなぜか。
任天堂が、
スマートフォンの存在に気づいていたが対処しきれなかったのはなぜか。


予測の難しい変化に見舞われる現在の競争環境は、
昔習った歴史のストーリーの栄枯盛衰のようだ。
グローバル化し、
自動化し、
ITで強化されたビジネスの速く大きな流れに、
どのように挑めばよいのだろうか？本書はそこに、
２本の補助線を引いた。
「市場の変化」と「儲けの仕組みの変化」だ。
どちらも「変化」を捉える２つの目線だ。
見つめる先は、
競争の土俵が変わった事例の「ゲームチェンジャー」達である。


1つ目の補助線、
「市場の変化の視点」とはつまり、
「新しい製品やサービスが出てきているかどうか」だ。
新世界を見出したのか、
「黒船」として横展開したのか、
自分が劇的に変わったのか。
既存の市場であっても、
業務プロセスの変更など様々な手を用いて競争の土俵を変えることができる。
全くの新市場を立ち上げることができれば、
直接的な競合は発生しないが、
顧客の時間と消費は有限だから、
長期的には新市場の存在自体が既存の市場を代替していく可能性がある。