無味乾燥

好きな俳優さんを扱った書籍に関し、
下記のような苦言を申すのは大変心苦しいのですが、
本書にふれた際の率直な気持ちなので、
気後れすることなく正直に評価させて頂きます。


まず総評として、
「価格に見合わない急ごしらえの粗悪本」だと思います。


貴重な素材が一切なく、
映画雑誌やパンフレットから転写したような映画スチールが前半数ページに乱雑にレイアウトされ、
他のページは文字だけ。


その「文字」も簡略化した作品データであり、
現在ならちょちょいと検索すれば拾えるレベル。


また、
ジャンル分けしていますが、
それも各々の作品が様々な要素、
要因が絡み合う複雑性を持っており、
編集部が勝手に区分けして「どや顔」で提示されても読者は困惑するだけ。


例えるなら、
レンタルビデオ屋の棚に、
あからさまに「このジャンル分け間違っているよなぁ」と感じる作品が混じって陳列されているのを目撃するような居心地の悪さでしょうか

普通に「制作年度別」に作品データを並べていき、
作品紹介の最後に申し訳程度に編集部が思うジャンルを記載する程度に留めるべきだったと思います。


単に「高倉健さん出演の全作品データを紙母体で手元に置いておきたい」なる目的のみが叶うだけですね。
←それとて既刊の追悼本で間に合います。


表題を金文字にしたり虚栄感丸出しで豪華さを誇示してますが、
中身はまったく伴いませんし、
亡くなられて以後、
巷で伝え聞く高倉健さんの実像から程遠い派手を装う装丁でもあり、
何もかもが的外れな便乗本で、
個人的には紙資源の無駄づかいだと感じます。


本書の編集部は、
企画の段階で内容の薄さに疑問を覚えなかったのだろうか?

昨年購入した中では、
心底落胆させられた書籍の筆頭だと断言出来ます。