文章はしっかりしてるけれど、ちょっと息苦しい
  病弱な母親を助けるべく貴族の父親に引き取られて育った紫那が、
皇宮で悪名高き皇帝・祐辰に出会ったところから、
とある任務を任され、
事件に巻き込まれていくというお話でした。
  
序盤から中盤までは文章もお話もきっちり書き込まれているせいか、
やや疲れる(或いはだるくなる)というか、
最後まで読めるのかなと不安でしたが、
中盤以降メインキャラの二人が互いを意識し始めてからは少しずつ引き込まれていきました。
  
脇キャラの中では裕辰に絶対的な忠誠を誓う修永や、
ちょっと変わった技能を持つ瑛琳がなかなか興味深かったです。
  お話全体を通して終始真面目で堅実な雰囲気が漂っているので、
そういうのが好きな方には合うと思いますし、
合わない人には息苦しく感じるのではないかと思います。
  私はもう少し灰汁のような、
作者ならではのこだわりや味わいのようなものを楽しみたい性格なので、
普通という感じです。
  何ていうか、
全体的に隙が無さ過ぎる感じがするので、
あとちょっと自由奔放さとかがあってもいいように感じました。
(そこがラノベの良さでもあるように思うし・・・)
どちらかというと、
表紙イラストの方にちょっとした遊び心のようなものやキャラの個性が表れているように感じたし、
だからこそ、
文字でもそういったものが味わえたら更に魅力が増すと思います。
  ヒロインが知的で正義感がある上に、
自分なりに考えて行動ができるので、
そういうキャラが好きな方には合うのではないかと思います。
  ヒーローの方はもうちょっと癖とか暴君ぶりがあってもよかったかな。
(本当の性格はともかくね)  とはいえ、
真摯に手堅く作品を書かれる方なのだなと感じたので、
次回作に期待します。
横暴陛下の姫補佐官 (ルルル文庫)

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