貫禄すら感じさせる逸品

【造形】☆5
まず、
たなびく髪やマントの造形、
大胆なポージングの面白さはamazonの写真を見ても分かる通りです。

写真では若干不安定で危なっかしい印象を受けましたが、
実物を見るとその印象は一変。

身体を中心に右手、
右足、
髪、
服が四方に伸びており、
空間の広がりを活しつつ、
安定感のある構図になっています。

（写真での印象ほど身体の軸が傾いていなかったのもポイントでしょうか）
また、
視線と身体の正面方向が大きく捻じれているため、
フィギュア全体としての「正面」が視線方向に限定されず、
広い角度から眺めて楽しめます。
全体的に、
「立体物」としてのデザインが非常に洗練されている印象です。

あとは内転筋群や腹部の曲線、
口蓋等の細かい表現、
衣服が身体と別成形で作られている点なども見所でしょうか。


【塗装】☆5
各部位毎にパール、
グロス、
セミグロス、
マットと細かく塗り分けられており、
塗装工程の手間など知ったこっちゃないという、
彩色設計のこだわりが感じられます。

肌の陰影等はやや大人しく、
その分セミグロスの衣服やパール調の髪との対比でメリハリをつけている感じでしょうか。

マニキュアのようなグロス感の爪は非常に存在感があり、
ワンポイントながらフィギュア全体にケレン味がプラスされています。


【仕上げ】☆3.5
まず、
見所の一つである長い髪でパーティングラインやバリが目立つ点が何より残念です。

右腋やガラクーチカの頭部等、
他にも目立つ場所にパーティングラインがあるので、
気合の入った造形や塗装との落差で余計に気になってしいます。

塗装の方は、
細かい塗り分けがありながらズレやはみ出しも少なく、
丁寧な仕上がりです。
ただし、
衣服の表裏のエッジ部分等、
細部の仕上げに大量生産の限界を感じる部分がなきにしもあらず。

他にも首のジョイントが短く抜けやすい、
台座との噛み合わせがキツい、
「差替えパーツ」の素顔がデフォでついている等、
細かい詰めの甘さも見受けられますが、
まぁその辺は初スケールフィギュアとのことでご愛嬌でしょうか。


【総合】☆4.5