とても実用的。そして、優しさにあふれている

認知症になると、
もの忘れなど良く知られたものだけでなく
さまざまな症状があらわれる。

（感情失禁、
弄便、
周徊など）

専門職ならまだしも、
介護する家族は大変だ。


専門知識も経験もない中で、
とつぜん身近な人が
「理解不能」と思える行動をとることに
驚き、
悩み、
辛い思いをすることになる。

そうした心理的ストレスは、
時に介護による心中など
痛ましい事態を引き起こすことに繋がりかねない。


この本は、
そうした「一番悩んでいる」人のためになろうと
一線の医師たちが執筆した本だ。

実用性と分かりやすさのために、
様々な工夫がこらされている。


例えば本書では、
実際に調査を行い
「実際に介護する時に悩まされることが多い症状」を調べ、

それぞれに対して
「なぜそれが起きるのか？」「どうすれば対応できるのか？」について
具体的な解説を試みている。


もうひとつ嬉しいのは、
単に医学的な情報だけではなく、

認知症の人やその家族に対する血の通った労わりの言葉が
随所にみられることだ。

執筆した医師たちのあたたかな気持ちが伝わってくる。


実用性はもちろん、
認知症に対する正しい理解を深めるためにも
ぜひ一読を勧めたい。