この本の出版に携わった方々の愛を感じる。

筆者が鬼籍に入られてから早１年が経とうとしています。


こちらは、
児玉氏が各媒体に寄稿された随筆・書評を、
大まかなテーマごとに編んだもので、
彼の人となりとその精神を追うことができる造りとなっています。


本を手にしてまず感銘を受けたのは、
装丁の丁寧さです。

ソフトカバーですが、
カバーを外した中に印刷された「蔵書印（ご本人のものと思われます）」に、
各章扉の切り絵（筆者作）。

…そして何よりうれしかったのは、
扉絵デザインに「児玉清氏の筆跡」が組み込まれていること。

文字は体を表すと申しますか、
児玉氏のお人柄を思わせる、
清廉な字です。


個人的に、
東日本大震災後に文藝春秋に寄稿されたと聞き及んだ「大人のリーダーを求む」をずっと読みたいと切望しておりました。

一周忌に際してこちらの本が出版されたことは喜びに堪えません。


各所に（言葉は悪いですが）書き散らされていた児玉氏の足跡が、
こうして一冊の本となったことにとても感謝しています。

期待していたよりもずっと多くの寄稿文が掲載されていて、
筆者の文勢が好きな私にとっては大変満足できる一冊です。


あとがきはご長男である北川大祐氏によるものです。

一ファンにすぎない私ですが、
ご子息の一言一言が、
筆者がどれほど周りに愛されていたか、
そしていかに人間味のある方だったかを推しはかるに十分なもので、
落涙を禁じえませんでした。


最終章の「日本、
そして日本人へ」が、
ありとあらゆる世代の方々の目に留まることを願いたいです。

これからの困難を乗り越えるにあたり、
いまの日本にそれに適う胆力をもつリーダーがどれほどいるのか。
嘆くよりも、
行動しなければと思います。


児玉清さん、
本の愉しさを教えてくださって本当にありがとうございます。

どうぞ安らかでありますように。