原作読者でアニメ未試聴の方へ

どうにもアニメ化が不安で、
録画だけして見ていなかったのだが、
先日１０話まで一気に視聴。

結論を言えば「買い」。
価格が高すぎるので0.5マイナス。
四捨五入して結局星５つ。


「お預かりしている（大切な）作品」というインタビュー内でのイシグロ監督の発言に、
プレッシャーで萎縮してしまっているのでは？と
違う意味で少々心配だったが、
いざ蓋を開けてみれば何のことはない、
原作者と映像クリエーターの真剣勝負である。

「原作は良かったのに」とか「まぁ原作が良いしね」などと言わせないという気迫を感じる。

漫画を動画にしてアフレコしただけの漫画原作アニメがはびこる中、
なんと幸せな作品だろうか。


たとえ公生の歩む道が鬼の通る道であったとしても最後まで見守ろう。

そんな気にさせる第１話だった。


アバンタイトルでトコトコと歩き、
かをりと追いかけっこするチェルシーII世（勝手に命名）は音符、
あるいは奏者と譜面のメタファーか。

実に巧いプロローグ、
いやここはプレリュードと言うべきか。


また１話ではないが、
撮影した映像をただ上からなぞるプレスコアリングではなく「音にタイミングを合わせて作画」した演奏シーンが見事。

実写としてのリアルさではない、
アニメとしての演出が施された見応えのあるシーンとなっている。

公生のシナスタジアと思われる能力や、
「ゾーン」の入口一歩手前でもがき苦しむ描写も非常に良く出来ている。

かをりの顔もしっかりデザインされ、
角度によって「これ誰？」などと思うこともない。


横山克氏の音楽も目立たず出しゃばらず、
それでいて視聴者の感情を鷲づかみにする。

１話では使われていないが、
主題の一つと思われるメロディー「君は忘れられるの」（多分）の使われ方などは最早凶悪ですらある。

Aパート　自宅のシーンでかかる（多分「私の嘘」）や３話バスの中や６話地区総体のシーンで使われる（多分「弟みたいな存在」）も破壊力抜群。


そしてソロパートのピアノ演奏者である、
公生より７歳年上の阪田知樹君が実に良い。