等身大の受験生父

　ノウハウを伝える面もあるが、
本音を余す所なくさらけ出してくれる本（だからペンネームなのでしょう）。
中学受験とは単に子供を塾に通わせるだけではないこと、
子供に勉強をさせるにあたり失敗した点、
など重要かつ親が知りたいことを隠すことなく書いている。
従って、
親が何も言わないのに自主的に勉強をしたり、
塾に行き偏差値70を超える、
といった生徒の親は読む必要はない。
しかしそうした極一部の優秀な受験生の親以外にとって他山の石とすべきことは多く、
また、
後半では一般の共通項の多さから感情移入しがちになり、
読み物としてもおもしろいことうけあい。

　中学受験をする子をもつ親のための入門書としてもいいだろうし（直前に読んでも意味がない）、
受験勉強の最中に読めば、
子供と自分が別人格であり、
子供に勉強を強制することの難しさを教えてくれる格好の書物となるだろう（遅くとも夏休みまでに読まねば知識をフィードバックできない）。

　以上、
受験体験記ではあるものの子育ての大切なことを思い出させてくれる名著と思う。

　母の視点があまりなかったが、
「中学受験で子供と遊ぼう」のように母のつまらないページがあるよりはいいのかもしれない。