判例知識の重要性が高い新司対策として、有用。

近年の司法試験では、
特定の重要判例やそれにまつわる議論を知っているか否かで差がつくケースが増えています。
これは民訴についても同様であり、
平成２６年度でもそのような出題がありました。


なお、
知識の有無で差がついてしまうのは、
ロースクール経由の場合、
受験生は最低でも４~５年ほど勉強してから受験するので、
ある程度は「手を広げた勉強」をしている人が多く、
旧司の短期合格者のように「基礎の精度を高める」といった対策だけでは太刀打ちできなくなっているためだと考えています。
（ただし、
手の広げすぎは非効率ですが・・・）

そういった近年の司法試験の傾向を踏まえると、
百選判例を中心に重要な学説などをコンパクトにまとめてくれているこの本は試験対策にかなり有用です。
特に、
基本書は読み込んだが、
百選をつぶせておらず判例知識の網羅性に不安がある人には、
ぴったりの教材だと思います。
実際、
私は薄い基本書（基礎からわかる民事訴訟法）を何度も回した上で、
この本で判例知識を補充する形で勉強しました。


ただし、
事例形式にはなっているものの「演習書」としては使いづらいところがあります（同シリーズの商法も同じ）。
事例は読んだら軽く頭の中で構成するにとどめ、
あくまで判例とそれにまつわる知識を押さえるための「論点本」として利用するのが良いかと思います。