知識を実務に反映できる"THE GOOD BOOK"

この本は「公務員の文章・メール術−副題：クレーム激減」がタイトルだが、
「市民にやさしい、
公務員の文章」みたいな表現はどうだろう？　「クレーム」というとモンスター・シティズンを思い起こさせ、
公務員の立場に立った表現と思われがちである。


さて、
作家や国語学者が表した文章作法は枚挙にいとまがないし、
実務に通じた文章本については「仕事分の書き方」などが既に出版されている。
しかし、
小田順子氏の本は、
予備校や学習塾で教えた知識と公務員としての実務経験を通じて文章作成法を描いたものとして、
ユニークであり、
役立つハウツー本であることは疑いを得ない。
知識はあっても、
経験が少ないと、
物事の理解に至らない。
この本は、
その理解を進める本と見た。


同書の具体例をひとつ挙げると、
2章の8項、
48頁の文を短くするコツ。
1文を147字でながながと書かれた行政文書を例に取り、
正確に、
明瞭に、
端的に書き換える方法を述べている。
役所言葉を使い、
何を言いたいのか理解に苦しむ行政文書が多い中で、
読みやすい文書が増えれば、
市民もやさしくなるというわけだから、
役所の所員はぜひ、
この本で知識を経験に変えて欲しい、
と市民の立場で願うのです。