世間知らずで純粋な田舎娘

世間知らずで純粋な田舎娘のキャサリン・モーランドが社交界でデビューをして様々な人と関わって行くうちに少し大人になる、
というストーリーです。


ゴシック小説の好きな彼女が夢や白昼夢を見たりするシーンが所々に挟まれているのですが、
夢見がちな少女のちょっと大げさな妄想が生き生きと描かれていて、
現実世界で進行するストーリーと彼女の妄想がちょっとごっちゃになる感覚を主人公と供に楽しめます。


そして保養地バースの華やかな雰囲気とは対象的で、
まるで何か出て来そうなちょっと不気味な元修道院「ノーサンガー・アベイ」は、
キャサリンが勝手に想像を膨らましてしまうのも無理の無いような怪しい雰囲気たっぷりです。
迷路のような入り組んだ通路、
重厚なインテリア、
綺麗に整えられた広大な庭、
どこかに何か秘密が隠されていそうな雰囲気が漂ってきます。


ロマンチックにまとめ上げられたドラマなのですが、
大人の階段を上って行く少女の何だかほんのり甘酸っぱい後味が残る作品です。