医療＝不完全な科学

ハーバード大学　Medical School　および
Public Health Schoolを卒業した若手医師が、

米国で行った7年間の外科研修の様子を克明に描き、

率直かつ忌憚のない感想を述べた作品である。

「A Surgeon’s Notes on an Imperfect Science」
とサブタイトルにあるように
医療行為全体が不完全な科学の上に
成り立っていることを強調している。

それによって生じる数々の問題や矛盾を指摘し、

患者の前では口に出せない様々な心の葛藤を吐露している。

私自身も日本で臨床研修を行っている身だが
著者と同じような感想を抱き、
日々の研修に取り組んでいる。

現代医学が高度に発達したとはいえ
日常に接する数々の出来事を
科学的に理路整然と説明することは
ほとんど不可能と言ってよい。

この作品には邦訳が出版されていないのが残念だが
是非とも多くの人に読んでもらいたい内容である。

医療現場の現実をまるでその場で体感しているかのごとく
知覚することのできる秀逸な作品だ。