政治制度の社会史

歴史上の人物のロマンスやドラマは出てきません。
ただ、
無味乾燥な史実のお浚いでもありません。
歴史に切り口が如何に重要であることを感じさせます。
逆・日本史も面白かったですが、
本書のような歴史の社会的、
経済的重要性の背景分析も歴史を面白くするのでは。
。
。

民主主義を近年取り入れた国が挫折し困難に陥っている停滞の原因は民主主義そのものではなくその実践の難しさ。
先進国で民主主義が当たり前になり政治制度の重要性が見落とされた。
安定した民主主義、
平和で活気があり寛容、
かつ不正の少ないデンマークのような理想的な近代社会への道筋を理解するため、
本書は基本的な政治制度の成り立ちを、
国家、
法の支配、
国民に責任を負う政府の３つの制度に焦点を当てて人類誕生からフランス革命までの歴史で振り返る。
著者にとってこれら３つの制度をバランス良く融合させるのが、
近代自由民主主義国家成功の鍵。
第一部：国家以前。
第二部：国家建設、
第三部：法の支配、
第四部：責任ある政府、
第五部：政治的発展の理論化。

第一部では、
社会的な生き物としての人類に埋め込まれた血縁選択、
互恵行動の行動パターン。
集団行動、
社会的結束を媒介する宗教。
社会的安定を求め規範を守り続ける社会の保守性。
先祖崇拝から経済的、
宗教的、
社会的な意味を併せ持ち血縁集団に帰属していた財産権。
権力の正当化と国家誕生への条件（生産性、
規模、
地形、
外敵）、
等が議論されます。