この映画の中で一番狂ってて邪悪なのは神様

殺人を犯したが故に呪われたカインの末裔に対して、
正しい人「」ノアは殺人を犯さない…どころか初っ端から生活のために狩りをしていた3人を問答無用で狩っちゃいます。
そして犠牲になった犬だけ火葬して神に捧げます。
シーシェパードかよと。
山中で見ず知らずの他人を無表情で殺戮するその殺陣さばきたるや、
殺人マシーンです。
今まで何人殺してきたのか、
考えるだに恐ろしいです。

そんな調子なので、
映画の最初から最後までで一番多くの人を殺している人間も、
そう案の定、
ノアさんです。

神の声がーとか言って孫の首を狙って妊婦をストーキングします。

正しい人「」のキャッチフレーズが冗談にしか思えない、
とことん人間性の欠如した人間です。

確かに人類の後始末係としては最適かもしれません。

でも結局神はこやつの子孫繁栄を許しちゃいます。

最後は空気読んで虹ピカピカーなんてしちゃって、
シムピープルかっての。

精神的に未熟な人がシムシティで神様プレイするとこうなるっていう展開で、
中の人が如何に悲惨な思いをするかのブラックジョークとして観ると面白いかもしれません。


今作の中で一番共感できるのは人間の王カインの演説でした。
あれは聞き応えがあった。

地を這い苦しんで生きろと神に見放され、
必死に生き抜いてきた、
神は救いの言葉も聞き入れてくれない、
それでも我々は人類だ、
一人でも多くの民を救うために箱舟に先陣を切って突撃する。
ドS神の放置プレーのせいで心は荒んでいますが、
立派な人間です。
貧困のなか神を信じて、
神の呪いに耐えながら、
それでも神に救いを乞うて、
それでも叶わない苦悩にも潰されず、
最後まで民を救おうとする人間です。

ノアに与えた様な一粒の種で森と河川ができる様な奇跡を起こしてあげれるぐらいなら、
ノアにしたようにメッセージを伝えてあげたなら、
改心に導けたはずでしょう。

貧困に追いやって苦しませておいて、
見すぼらしいから皆殺しなんて、
何が愛だ。


ノアが最後に愛の選択をしたのだとか仰るレビュアーもおられますが、
一人でも多くの人を救おうという選択はなかったのか。
女子供赤子までバッサバッサと切り捨て見殺しにしといて、
愛を語る資格はない。