優しき調べを奏でし勇敢なる平和の竪琴、ヘッセの言葉

　１８７７年に生まれ、
『車輪の下』や『シッダールタ』『デミアン』等の作品で有名なドイツの作家、
ヘルマン・ヘッセの名言集です。

　この弥生書房さんの「人生の知恵」シリーズは、
作家の割とマイナーな作品からも言葉を採録してくれていて個人的に非常に気に入っており、
他の作家のものも数冊持っています。


　本書は、
「人生について」「恋と友情」「愛と苦悩」「芸術について」「読書について」「社会と文化」「生と死と信仰」「人間について」の８つの大きな章に分けられており、
『荒野の狼』や『ナルツィスとゴルトムント』『クラインとワーグナー』『ペーター・カーメンツィント』『ゲルトルート』『デミアン』等小説からの引用が多く、
全体のほぼ９割と言っていいですが、
詩や『世界文学文庫』からも少しは採録されています。

　私は別個で文庫になっているような有名作しか読んでいないので、
本書に聞いたことがない作品がたくさん出てきて大分お得感がありました。

　ただ、
このヘッセの言葉が同シリーズの他の本とちょっと違っているのが、
「言葉」（名言集）というよりむしろ「名文」集と言ったほうが適切なのではないかという位の一つ一つの引用文の長さ。
激しいものになると、
一つの引用文が２ページに渡っています。
理解のためには名言の前後の文脈がどうしても必要なのでしょうが、
「名言集」だと思って読むとちょっと驚きます（笑）。
一応ご注意を。