感謝と思いやりを。

努力のノウハウは確かに素晴らしく、
仕事や勉強で大いに役立ちます。


ただ気になったのは、
「自分がどう評価され、
どんな結果を出せるか」に注力するあまり、
周囲への感謝と思いやりが希薄になっている点。

著者の経歴はご本人の努力でもぎとったものであると同時に、
それを評価し、
支えてくれた周囲の方がいてこそです。


高校時代の体育で「倒立」をなんとか評価してもらえたのは、
「これみよがしの」努力を汲み取って下さる先生の配慮があったからです。

「人に見える努力で結果を勝ち取った」という自分の達成感だけでなく、
ここで先生に感謝の言葉を。

また、
習い事の例えでお料理教室に触れていましたが、
仮に習った通りに作った料理を家族から「味が濃い」と指摘されても、
「調味料が多かったかな」とか「薄味が好みかしら」と考えて、
相手の好みの味となるよう再チャレンジすればよい話です。
そこに楽しみを見出す人もいる中、
「結果が見えにくい」と片付ける著者の感覚には違和感を覚えました。


自分とは違う考えや感覚を持った人は世の中に大勢います。
それに出会った時、
自分が否定されたと感じるのは、
自信やプライドのせいかもしれません。
テクニカルに物事を処理し、
回避するのではなく、
多様な考えを受け入れる謙虚さと寛容さが加われば、
さらに磨きがかかるのではないでしょうか。


人と接することでしか得られない経験もあります。
著者がそのような経験を今後多く積まれ、
成果を上げること以外の「心」にも目を向け更に成長されることを期待しています。