またやられてしまった

そのアルバムタイトルから、
ギラギラするパンチのある曲達を勝手に予想していたのだが、
全く的が外れていた。


安全地帯の「The Saltmoderate Show」の玉置のイメージも白紙にして、
違うアーティストとして聴くべきだろう。

玉置の裏切りはあいかわらず健在で、
こんなに変化できるアーティストが他にいるだろうか。


アレンジもソロらしく、
PianoやStringsが多い。

Guitarのサウンドも控えめで、
どちらかといえば、
「Offer　Music　Box」のアレンジの流れか。

個人的にはもう少しアコギが欲しかったのだが。


Guitarが加わっている曲の中でキラリと光る曲が「いつの日も」。

「清く正しく美しく」以来の語り口調の曲で,玉置の温かみのあるVocalに穏やかな気持ちにさせられてしまう。


矢萩のE．Gが前奏とエンディングでさりげなく入っているが、

これは同じく「清く〜」と、
最近矢萩が手掛けているアーティスト星野裕矢の「アイヱ」でも使われている尺八風の音色で、
矢萩渾身のテクである。

この曲の中間のA．Gもそうだが、
この「さりげなさ」が絶妙なタイミングで、

かつ決して出しゃばらないセンスが玉置のVocalを際立たせると共に新たな空間を作り出してくれる。


一つ異彩を放つのが「かくれんぼ」
「The Saltmoderate Show」では出番のなかった3拍子の曲が、
このアルバムで復活されたのは大歓迎だ。

玉置ほど３拍子の作品が多くて、
それが似合うアーティストは数少ないだろう。


３拍子の曲には精神をリラックスさせる効果があるらしいが、
玉置の曲で癒される人が多いのもそれが一理あるのかもしれない。

それも今回はjazzyなアレンジで、
金子マリをfeaturingしたことにより更にスイング感をかもし出し、
心地よいゆらぎを感じてしまう。


一人になって鎧を脱ぎ捨てた素の玉置の「今」がここにある。