命(医師)と社会(市長)
ベラルーシで5年半にわたり小児甲状腺ガンの診察と手術を行なってきた経験を持つ医師であり、
自治体(松本市)首長でもある菅谷昭さん。

現在子供の甲状腺検査を行なっている福島県に対し、
菅谷さんほど適切な助言をできる理想的な人物は他にいないだろう。

しかし、
菅谷さんが、
例えば福島県の検査チームのアドバイザーなどに招かれる可能性は低いと思われる。

なぜなら、
菅谷さんは、
経産省や御用学者等の原子力村の利益に配慮することなど一切なく、
ひたすら子供の甲状腺ガンの早期発見早期治療を目指し、
子どもたちの健康を最優先する政策を提言する事が予想されるからだ。
それは、
放射能の影響を視野に入れて対策を立てることにつながってしまう。
そうなると都合の悪い人が福島にも霞が関にも沢山いる。


菅谷さんの言葉は豊富なデーターと経験に裏打ちされて、
とても説得力がある。

また「この国には、
国民の命を守るという、
国の最も大切な視点が抜け落ちているのではないでしょうか」(224頁)等の言葉に表れているように、
命という原点から様々な社会政策を思考する姿勢も一貫している。


福島市の市長が菅谷さんだったら福島の人々は今より余程救われていたであろう。
少なくとも放射能の話がタブーになったり、
避難する人と留まる人の間で軋轢が生まれる事はかなり減少したと思われる。
政治家や官僚のための統治が行われる場所では、
それに従う市民と抵抗する市民が生れ、
分断させられるのに対し、
市民のための政治が行なわれている場所では、
オープンに議論ができるのではないだろうか。


尚、
本書では、
小児甲状腺ガンだけではなく、
大人の甲状腺ガンも増加すること、
セシウム137が様々な病気を引き起こすことなどが、
ベラルーシの事例を引きながら分かりやすく書かれている。
小さい子供を抱える人や低濃度汚染地域に暮らす人はもちろん、
それ以外の人にも有益である。


危険をいたずらに煽らず、
それでいて危険から目を逸らさずに最善策を提示する。
政治家や官僚の政策批判はしても、
人格攻撃は決してしない。
これらも本書の特徴のひとつだが、
菅谷さんの、
医師としての冷静な判断、
人としての良心、
政治家としての信念があればこそだろう。


 
原発事故と甲状腺がん (幻冬舎ルネッサンス新書)

その他の感想

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オーディオ機器に効果
ホースと併せて買いました。
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明るいが狭いし横から見えない
内容はわかりやすいが
すぐに切れて使い物になりません
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アメリカの医療破綻の現状の良質なルポ
チョイ軽いし
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How to turn up into down into up: A child’s guide to inflation, depression, and economic recovery
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