堂に入っちょる

恥ずかしながらarcaは本作で初めて知った。

kanyeの『yeezus』の数曲でプロデューサーを務め、

bjork次回作のプロデューサーを務めることもさっき知った。

なるほど華々しいキャリアだ。


本作はアンビエントテクノを基調に、
メロディーやリズムを崩していくという
90年代のaphex twin、
autechreの路線を上手く踏襲し、

それにmassive attackやportise head等のトリップ・ホップのような
暗く陰鬱な雰囲気、
リズムを加えたもの、

といえば未聴の人にも想像が着きやすいか。

それにpvやジャケットの奇形趣味も相俟って、

まあ誰でもaphex twinとchris cuninngumのコンビを想起するのは人情だろう。


そうした意味では、
ネット上での異次元の音楽とか
未曾有の音楽体験とかいった評価は少々過大だろう。

アンビエントとブレーク・ビーツや無調や無拍子といった組み合わせが上手くいくことは
aphex twinやautechreが90年代に我々に示してくれたとおりである。

比較的ネタは割れているといっていい。


とはいえ1stアルバムから元はきっちりしていたであろうメロディーやリズムを崩したり、

無調、
無拍子を平然と導入するなんて大したやつである。

radioheadだって、
bjorkだって、
aphex twinだって、
autechreだって
最初はベタベタな調性ポップスだったのに。

しかも調性メロディーに不協和音をばら撒いたり、
拍子を程ほどに壊すバランス感覚が図抜けている。

実は全くの無調や無拍子の楽曲はなかったかもしれない（ごめんちゃんとカウントしてなかった）。

その意味では律儀にpopアルバムもしているわけで、
マーケットを完全に無視しているわけではないだろう。

しかも上手い。

本作ではしばしばサンプリング素材の音高の急上昇、
急降下、
リズムの伸縮が見られるが
機材が90年代に比べていいのもあるだろうが、
違和感なく曲にフィットしている。