年齢を重ねた今のユーミンだからこその傑作。

　
　今回のアルバムは前作と比べると随分と派手できらびやかだ。
けれど、
それらは決して空虚なものではなく、
年齢相応に洗練され落ち着いた、
今の彼女だからこそ表現できるきらびやかさだ。
個人的に前作『Road Show』は久しぶりにユーミンの綴る歌詞の素晴らしさに心ふるえた作品だったのだけれど、
今作もまた素晴らしかった。

　
　SF的でファンタジーな世界観の「Babies are popstars」はその派手さに目を向けがちだけれど、
そこには両親から子供へ、
そして子供から親への愛や命のつながりといった大きなテーマを感じるし、
ありふれたシチュエーションに思える「Laughter」は、
その瞬間の切り取り方にユーミンの才能を感じる。
以前に何度も同じようなシチュエーションをテーマにしている「Your Eyes Are Magic」も、
決して同じことの繰り返しになっていない。
９０年代以降特に増えてきたラテンナンバーの「Discotheque」もまた然り。
声の衰えはさすがに隠せないし、
そこに全く不満を覚えないわけではないけれどノスタルジックな「愛と遠い日の未来へ」や「Early Springtime」は今のユーミンの声質だからこそ余計に胸に染み入るものがあるし、
「夜明けの雲」や「シャンソン」は年老いた今のユーミンだからこそ作ることのできた曲だろう。
美しく幻想的な言葉で恋愛や人生といった普遍的なテーマをつづった「MODELE」はユーミンだからこそ描くことのできた世界だと思う。


　『POP CLASSICO』は８０年代、
あるいはそれ以前のユーミンの気配を感じさせる部分もあれば、
今のユーミンだからこその魅力を感じさせる部分もある、
“自らのルーツ‘CLASSICO’と、
未来‘POP’を融合させた”云々という謳い文句は決して大げさなものではなかったのだな、
と感心させられる素晴らしいアルバムだった。