大傑作であるが、何か？

どうやら小谷野敦先生は映画でニンフォマニアやサイコパスを見たいとは欲望されていないようなので、
ならばたんに本作を見なければいいだけの話だろう。
本作は日本映画史上最も強硬に身体的な愛情に向き合った作品なので、
小谷野氏のような道徳観とは相容れないとは思うが、
しかしそれだけのことである。
谷崎の優秀な研究をなさっている小谷野氏がポルノをどう考えているかは知らないが、
本作はたとえばにっかつロマンポルノとも全く表現を異にした極めて特異な描写を持った作品です。
制度の名においてのみ性風俗を批判の土壌に上げ、
こうした存在を描写する試みを批判することは、
ただ臆病なだけではないでしょうか。
小谷野氏はたんに映像の可能性を知らないだけではないでしょうか。
今日世間が、
デンマークのつまらない監督の映画をもてはやすくらいなら本作の描写こそを顕揚すべきだと思われます。