日本企業、日本産業のあり方を考えるのに必読の書。但し、翻訳に難。

大企業が主導する産業構造ではなく、
世界的に強みを持つ中堅企業がリードする産業構造によりドイツ製造業は堅調に推移している。
ハーマン・サイモンは豊富な事例をもとに、
その特徴をあぶりだした。

典型的なドイツの「隠れたチャンピオン企業」は、
典型的な日本の「ニッチトップ企業」と少し異なる。
日本のニッチトップ企業は、
オンリーワン技術と武器にしがちであるのに対して、
ドイツの隠れたチャンピオン企業には、
技術一辺倒の勝負というよりは、
顧客業界に提案し、
顧客の問題解決をしながら、
業界のスタンダードをつくっていこうというイニシアチブがあり、
それを武器にしている。
ここに大きなヒントがある。

ところで、
翻訳は難あり。
文字の多い原文380頁を300頁に翻訳するのがそもそも無理だったのか、
訳のカットが多すぎる。
例えば、
市場シェアと利益についての箇所では、
価格プレミアムについての記載や、
良いシェアと悪いシェアがあるといった重要な記載をばっさりカットしているので、
文意がおかしくなっている。