IFRS国際会計基準表示・開示の実務―完全解説 の感想

本書で特に優れた特徴と思われるのは、主要項目ごとに紹介されている多数の開示例である。これらは欧州のIFRS適用企業のほか日本を含むさまざまな地域の公表済財務書類によっており、全体で33章の本書に掲載される開示例は341にのぼる。IFRS規定の解説、IFRSによる財務書類を実際に作成する際に生じると考えられる表示及び開示に関する論点の説明は明解であり、各章末に取りまとめられている日本基準との差異の比較表も分かり易い。

本書について一点だけ欲を言えば、章ごとに分散して掲載されている詳細目次(これらの目次は合計で67頁にものぼる)を本書冒頭の大目次に続けてまとめて掲載して欲しいことである。全体を網羅する詳細目次が一か所に集中して掲載されていれば検索作業は格段に容易になると思われる。