はたらく魔王さま! 0 (電撃文庫) の感想

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参照データ

タイトルはたらく魔王さま! 0 (電撃文庫)
発売日2014-09-10
製作者和ヶ原聡司
販売元KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
JANコード9784048669009
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » ライトノベル

購入者の感想

前回、魔王と勇者が運命の人と邂逅したところで過去編投入。いいタイミングだと思います。
過去編や番外編を挟むタイミングを間違えて、読者をがっかりさせるシリーズもあり、
なかなか難しいものだと思うだけに、このシリーズの安定感が光ります。

このお話は、魔王の黎明期、かつての勇者の挿話、そして地球での主要人物たちの
ささやかなニアミスの三本立てです。
単に過去編というだけでなく、時期によって魔王や勇者のおかれている状況が大きく違い、
『はたらく魔王さま!』の世界の広がりを感じさせる内容です。

魔王の少年時代では、今の主夫やニートとは似ても似つかない、
キレッキレだった頃の芦屋や漆原の姿が印象的でした。
かっこいいけれど、同時にこのままだと彼らは、魔界という不毛の荒野で生きる、
ただの野獣でしかなかったのだと感じ、魔族にとってサタンという少年が
まさに運命の人だったのだとわかります。
ゲームでは最初から侵略者であり倒すべき敵である「魔王」という存在が、
魔族にとってどれだけ重い存在なのかを感じられる、
ファンタジーの歴史から見ても興味深い話だと思います。

ストーリー的には、ルシフェルやアドラメレクが仲間になっていく過程がやや簡単すぎる気もします。
仲間になった後のルシフェルも、最初あれだけ荒れていたことを考えると、
もうちょっと非協力的だったんじゃないかな~と。
とはいえ全体としては、非常にしっかりと『魔王さま』の過去を補完できていたと思います。
そして初めて姿を描かれたアドラメレクとカミーオのかっこよさは、
これだけで本を買ってもいいぐらいのものでした。

勇者が砂漠の国で災害を解決するお話は、
単純に魔物と戦ったりするだけでないファンタジー世界の面白さがあってよかったです。
爬虫類好きとしては、光景を想像するだけで胸がわくわくしてしまいました(笑)。
ファンタジーというものが、剣と魔法だけで成立しているわけではない、

魔王と魔王軍幹部が出会ったころの物語と、もっと後のエミリアが魔王討伐をしていた頃の物語と、魔王たちが日本に来てまだ勇者と出会って無い頃の、要するに本編前のプレストーリー短編集。

中でも真ん中のエミリアの話が面白かった。この話だけひたすらギャグ一直線。悪者の筈のオルバが微妙にギャグよりなのはアニメの影響だろうな。あと、意外な人の意外な暴走が見どころ(笑)。

たぶん、作者ははたらく魔王さま本編とは別に、エンテイスラを舞台としたファンタジーを長年温めて、世界観を綿密に組み立てていたんじゃないかなぁ、と思える。最初の話も実に綿密で、臨場感がある。真ん中の話も短編には勿体ない設定の凝り方だ。

まぁ、そこを真正面から本格ファンタジーとして書かずに、斜めからはたらく魔王さまに仕上げたから、ヒットしたんだと思う。厳しい言い方をすれば、エンテイスラの世界観はありふれた王道ファンタジーで、古い。なので、今回の短編も古臭い香りはする。

まぁ、十分に面白かった。作者の構想力と筆力は鈍っていないので次にも期待。それと、この時期にわざわざ書き下ろしてまで本編停滞させた理由はたぶん二期アニメ化なので(笑)そっちにも期待。

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