PROCESS OF PARAGRAPH WRITING (2ND) の感想

洋書ですが、非英語圏出身の学習者を念頭に書かれてあるので難しくはありません。英文のライティングの基本を論理的に簡潔に説明しています。たくさんの課題とそのための短い例文がいっぱい載っています。例文の多くは非英語圏出身者によって書かれています。日本人が書いたものもあります。英文としてはちょっとつたないものも含まれています。ビジネス文書もあるし、ジョークも、アラブでの結婚のしきたりも、エタノールの作り方とか、剣道や折り紙についての説明もあり、飽きさせない。問題にそって線をひいたりしていると文章読解の練習にもなります。充実した内容で、お勧めの一冊です。

読んでしみじみ思うのは、英文のライティングというものは、英語力だけを鍛えればよいというものでもないのだなということ。要約でさえ、きちんとしたルールがある。そして、英語でのパラグラフ・ライティングの手法や考え方は、日本語の文章を書くときにも参考になるな、ということである。実際、ここに挙げられているたくさんの例を読んでいくと、基礎的な英語だけで書かれたものであっても、伝えたいことをはっきりと整理した上で、きちんと英文の基本ルールに沿って書かれているものは読みやすくて内容も伝わりやすいものだということが良くわかる。

本書で説明されているライティングにおけるコツはどれも難しいものではない。ひとつひとつは易しい。きわめてまともで常識極まりない。読み手がいて、書き手がいる。そして文章として伝えたいことがある。一方で、書く上での基本ルールがある。どのような読み手を想定して、何のテーマのどこに的をしぼって、それをどのように整理して伝えるのか。そのために、自分の考えをどのようにまとめて、どのように例を交えて、必要に応じて時系列にして、どのような規準で適切な構文を選んで、構文のルールに載せて、文章にして書けばよいのか。そういうことを、いろいろな形で説明してくれる。応用範囲は広くて参考になる。