韓非子 (第1冊) (岩波文庫) の感想

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タイトル韓非子 (第1冊) (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者韓 非
販売元岩波書店
JANコード9784003321010
カテゴリ哲学・思想 » 東洋思想 » 中国 » 諸子百家・儒教・道教

購入者の感想

日本人全員が一家に七書を蔵すようになれば、日本も少しはまともになるのにな。韓非子は他の七書に比べて分量が多いが、本書の大半は解説だ。金谷治氏の解説だから、彼の他の著書を読んだことのある人ならだいたいどんなものかわかると思うが。

amazonレビューには(1)〜(4)別個にアップロードしたが、(2)〜(4)は掲載されず(1)のみであるため、(2)〜(4)も追記する。
(1)
人間に冷たい人間関係においてドライなイメージがある本書であるが、言っていることは極めてまとも。平たく言えば、
○国を治めるには、情報と金と厳格な命令−服従関係、その全ての元には確固たる権力が必要。
○信賞必罰は絶対
○保守とか革新とかの思想は全く国を治めるには関係なく、今をより良くするために、従来のやり方を変えるべきか変えないべきかが全ての基準となるべき。
などなど。
ただ、こうした教訓を導くのに、沢山の実例というか逸話というか物語を語っており、中国古代史そのものに興味がないと退屈かも。そういう意味で、本書の圧巻は冒頭の「解説」だった。

(2)
最古の老子の解説本だという。
○考えようによっては、禍(わざわい)も、あれば慎重になるのだから、福が寄り添っていると言える。
○最大の災いは、満足しないこと。よって聖人は、衣食も最低限、みだらな美しさは敢えて取り除く。
らしい。
また1巻に続き、人を使うには信賞必罰が絶対、と説くところは一貫しており、そのためにも
○知っていることでも知らないふりをして質問する。
ことも大事らしい。
○いざというときの備えをおろそかにして、何が倹約か!その倹約で褒められるなんて愚の骨頂というようなところは、現代の日本にも喝!といったところか。

(3)
本編は、これまでの形式と異なり、途中から「ディベート」的な方式で記述されており、読み物として面白い。
まず当たり前の、普通ならそのとおりだろう、と思える逸話が紹介される。
それに対する反駁として、いやいや、そもそも○○ではないか、そうではない、その主張は間違いだ、との主張がなされている。
例えば、君主と臣下は土壌と草木の関係であり、立派な土壌があってこそ立派な草木が育つという立論があったとすると、これに対する反例が種々並べられ、結局両方が大事なのだ、というふうに流れる。

 一般に『韓非子』は非情の書として知られており、読まず嫌いの向きも結構あると思うが、じっくり向かい合って読むと人間の行動心理を如何に冷静に見つめていたか、がよくわかる。ここでは君主が失ってはいけない二つの権力『賞罰』が如何に大切かを訴えており、君主の心は臣下に読ませてはならず、どのようにして君主が力を失っていったかが、たくさんの事例を上げて説明されている。

 しかしこれは君主(社長)の立場としてのみ読むものであろうか? 今の時代では社員としてこの書を読み、如何にのし上がっていくか、という形でも読むことができるだろう。ここに挙げられている話は良くも悪くもわれわれ人類の教訓なのだ。

 この本に余計な解説本はいらない。この本を虚心になって読み、所々で立ち止まって、自分の置かれた立場と比べ合わせながら読み進めばこの本が現代にも通じる実にリアルなものであることが再認識されるだろう。

 本書は,国家をなるべく長い間維持していくことを目標として明確に掲げて,その手段としての支配者の心構えを説いたものです。そして,本書で重きを置く国家とは,すなわち君主の支配権のこと。つまり,一人の人間が多衆を効率的に支配しつづけるにはどうすべきかを説いたものということになります。
 面白いと思ったのは,どうせ君主も有徳の聖人ではありえないし,民衆も義理堅い善人であるはずがないのだから,ボンクラがコスカライ人間を思い通りに動かすにはどうすべきなのか,という,まるっきりシラケきった開き直りを出発点として物を考えている点です。そのミもフタもない人間観は,奇妙にリアルでうがった説得力があります。中国の古典というと連想されがちな,納まりかえった訳知り顔の臭??が本書にはなく,なんだか爽やかにさえ感じられました。
 この第三冊で魅力的なのは,「難」篇と称される一連の論集です。そこでは,当時評判だったいろいろな故事とその解釈について,「いや,それはおかしい」と,韓非子の立場からツッコミを入れています。どちらの考え方をもっともだと思うのか,それは結局読み手の考え方次第ということになるのだとは思います。ただ少なくとも中国の故事について時折感じられる,「そんな捉え方ばかりではないと思うのだけれど」という不満を,韓非子が共有してくれているのを見ることで,「やっぱり納得いかないのは自分だけではないんだな」と安心することができると思います。そうすることで,そうした批判を経てなお永らえてきた故事についての解釈を謙虚に深めて!いこうという気にもなってきました。
 四分冊とかなりの大部に感じられますが,白文,読み下し文,訳文と註解がついての分量です。実質的には半分以下のボリュームということになると思います。

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