銀幕おもいで話 (双葉文庫) の感想

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参照データ

タイトル銀幕おもいで話 (双葉文庫)
発売日2013-08-08
製作者高岩 淡
販売元双葉社
JANコード9784575714012
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » エッセー・随筆

購入者の感想

 もっと評判になって、たくさんの人びとに読まれてもおかしくない本だ。
 高岩氏は東映京都撮影所所長を二十年間もつとめ、敏腕プロデューサーとしての活躍のほかに、東映太秦映画村の開設などの事業にたずさわった、いわば東映の生き字引のような存在。

《私は、自分に映画人として特別な才能があると思ったことも、ましてや自分が偉いと思ったことも、一度もないのです。
 ただひたすら、俳優やスタッフがいい作品を撮るお手伝いをすることが、自分の役割だと思って、仕事をしてきました。》

 なにより、その名のとおり淡々とした語り口に、おのずと実直な人柄がにじみ出ているのがいい。
 コンパクトな東映社史として読むことも可能な一冊だろう。
 取材・構成は里中高志。映画一覧と参考文献もついている。

 立場上いろいろな差し支えがあって優等生的にこぢんまりとまとめてしまったきらいも若干あるけれど、現場に立ち会ってきたひとの「忘れえぬ人びと」への思いがこめられた逸話の数々は、やはりかけがえのないものだといわざるをえない。  
 中村錦之助と美空ひばりのおつきあいが十代の頃から最晩年まで綿々とつづいていたとか、知るひとぞ知る檀一雄や俊藤浩滋や美能幸三の素顔などなど、東映映画ファンにとってはこたえられない興味津々のエピソードが満載。

 どんな経緯があったのか、いきなり語り下ろしの文庫本という体裁におちついたわけだが、この内容ならば、歴代の映画スターのブロマイド、東映作品のポスターとスチール写真といった図版をふんだんに入れて単行本で刊行すべきだったのではないかしら。
 昭和の娯楽映画を愛するひとには、ぜひ一読をおすすめしたい好著だ。

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