ロシアン武術が教える、非破壊の打撃術 システマ・ストライク の感想

※サンプル画像 クリックで拡大します

ロシアン武術、システマの日本を代表する指導者として活躍する北川貴英氏の最新刊。

『最強のリラックス』『人はなぜ突然怒り出すのか？』といった北川氏の従来の書籍ではシステマの核であるブリージングの解説を中心に、年間に三万人もの自殺者が出る過酷な現代日本社会をサバイブする智慧や技術を説いたものが多かった。

本書においても、もちろんシステマの核であるブリージングの基本には紙幅が割かれ、丁寧な解説がなされている。
だが、やはり、本書の最大の醍醐味は他者を傷つけず、それでいて自分が傷つくこともない「非破壊打撃」の境地を目指すシステマのストライクの解説部分にあるだろう。

また、武術の本というと「攻撃は最大の防御」とばかり、防御の部分の記述がやや薄目になる傾向があるが、本書ではサバイブのための第一歩として他者からの「ストライクの受け方」に多くの紙幅を割いているのも興味深い。

この「ストライクの受け方」には、物理的な攻撃のみならず、メンタルなダメージの低減も含まれる。

本書は、全体的に大変丁寧な編集が施されており、内容が充実しているため、これまで何冊か北川氏の本を読んだことのある読者が購入しても、「また同じような内容か…」と失望することはないだろう。

二〇十四年現時点における、北川氏のシステマ教本の集大成といっていい内容の本になっていると思う。

だが、現時点でも北川氏のシステマの進化は継続中である。
今後も、北川氏の活動から目を離せない日々が続きそうだ。